僕の女王様
「おめでとう」


久しぶりにノックの音を聞き、ドアをあけてやると、意外な人物が立っていた。


「海斗・・・どうしたの?」


自分に用があってきてくれたことはわかっていたのに、それ以上言葉が見つからない。


「まだ、お祝い言ってなかったな。と、思って」


そう言って、もう一度「おめでとう」と言ってくれる。


「ありがとう・・・・って、何のお祝い?」


条件反射でお礼を言い、我に返る。


誕生日はもうとっくに終わったし、祝われるような出来事もない。


「何って、婚約。どうして言ってくれなかったんだ。お祝いしてやれないだろ」


「お祝いしてくれるんだ」


告白する前から、失恋決定ね。


約束を覚えていてくれなかった時点で無理だとあきらめていた。
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