僕の女王様
「頼みがあるんだけど」


口止め料と言うやつだ。


「……」


言いにくそうに言えば、あまり好ましい話ではないようだ。


「明日、千里貸して」


「……なんで?」


僕に断る必要性が見いだせない。


と言うよりも、物じゃないんだから貸し借りするという発言に眉をひそめる。


「彼氏には許可貰った方がいいだろ?」


肩をすくめてみせる様子から家庭の事情が絡んでいる事が伺える。


「本人に聞いてみて」


「ありがとう」


祐也の家庭事情は複雑だ。


それを知っている者としては申し出を断り難い。
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