僕の女王様
「お待たせして申し訳ありません」


「いいのよ。女の子は時間がかかるもの」


そう言って風に乱された髪を直してくれる。


今日は、寝坊したわけではなく、会場にいる時間を短くするためにぎりぎりに出て来た。


「千里さん、ご無沙汰しております」


会場入りすると、最初に声をかけて来たのは、祐也の兄で正也だ。


兄弟と言っても異母兄弟のため仲はものすごく悪い。


「正也さん、ご無沙汰しております」


「美沙子さん、いらっしゃってくださったんですね」


祐也の母が深々と頭を下げれば、正也はいかにも会いたくなかったと言う意志を込めて言う。
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