僕の女王様
「一曲お願いできますか?」


これで何人目だろう。


考えるのも面倒だ。


何気にかれこれ30分くらいは踊っている。


もういい加減休ませてほしい。


そう思いながらも、出された手をとり再びダンスの輪の中に入る。


約束をしてしまった以上、11時までは楽しんでいる振りはしなければならない。


「今日は、ありがとう」


どこで知ったのか、11時になると裕也は車で迎えに来てくれた。


「おばさんは?」


「父さんと一緒」


裕也の指差した先に明かりの灯る部屋があった。


「そう、挨拶しようかと思ったら、いらっしゃらないから・・・」


主役に断ってから帰りたかったけれども、邪魔をしては悪い。
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