僕の女王様
「あ、あぶない」


千里がもう少しで紅茶を飲み干そうとした時、事件は起こった。


「千里、大丈夫か?」


自分が下敷きにした千里に怪我が無いことを確認して胸をなで下ろす。


一瞬の事だった。


よく考えれば今までなかった事が不思議なくらいだ。


忘れていたのは自分のミス。


「か、海斗………」


千里の顔が青ざめている。


声も震えていて、どこか弱々しい。


「どうした?どこか痛いのか?」


「私、じゃなくて、血」


そう言って俺の額に手を伸ばす。


初めて自分が怪我をしているのだと気づく。
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