僕の女王様
「どうかした?」


一瞬、睨みつけていつもの笑顔に戻る。


信じられないと言った顔の彼が首を振りいつものしぐさに戻るのを待つ。


「・・・いや、なんでもない」


「たぶん、気のせいじゃないわ」と、心の中で呟く。


早く話を終わらせてほしい、いつも以上に見ていたくない顔に、相手に悟られない程度に顔色が曇る。


「俺達、付き合わない?」


彼が自分を好きらしいことは何となくわかっていた。


だから、いつか告白されるとは思っていたけれども、こんなにも堂々とされるとは夢にも思っていなかった。


ここ、玄関。


それも、最も混雑する始業10分前。


いつもなら急ぎ足で駆け抜ける生徒の時間が止まる。


当然、裕也の足も止まり、振りかえる。


「俺達、美男美女ですごくお似合いだと思うんだけど」


この人は鏡を見たことがあるのだろうか。


他の女子生徒はの好みはこの際置いといて、まったくもって私の好みの要素はない。
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