僕の女王様
「やっぱり、千里様はすごいね」


「祐也は歩いて帰るからいいわ」


運転手にそう告げるとドアを閉めるように促す。


一旦閉められたドアを自ら開けると車に滑り込む。


一瞬にして部屋の雰囲気を変えてしまった千里に感心したのは事実。


自分の人気を知っての言動に手放しで感心できない。


「おじ様どうだった?」


「………まぁまぁかな」


恐る恐る聞く千里に控えめに答える。


父親の容体は思っていたよりも悪くなっている。


自己の責任を感じている千里に、本当のことは言えなかった。


母もあいかわらずだし、千里は行かない方がいいと思う。


「あんまり悩むとハゲるぞ」


千里の髪をくしゃくしゃにして屋敷に入る。
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