うらら!
「みずほ!落ち着いて。何があったかは後で話して。今はここを離れよう」
みずほはどうしようと呟き震えながら私の腕をつかんで言うことを聞かなかった。
彼女が夏からずっと羽織っていた紺色のセーターは腹の部分が不自然にほつれていた。ナイフか何かで引き裂かれたのだろうか。
私の腕をつかんだその袖が微かに濡れているような気がした。
彼女の手を離すと自分の腕に絖りと光るものが残った。
それはどこか、サスペンスとかのドラマでも見たことがあるものだった。
「みずほ、これ…血?血じゃない?あんた怪我してるの??」
「違う、私じゃない…!どうしようどうしよう!私どうしよう!」
「どうしようって、血って…!あんた、やっちゃったの…?」
みずほの焦点の定まらない目が私を一瞬とらえ、下を向いた。
静かだった。
二人の周りを静寂が包んでしまった気がしたが、
それも一瞬で終わり直ぐ様、電車や車のクラクション、雑踏の音が耳に聞こえた。
今にでもパトカーのサイレンが聞こえてくるのではないかと耳をすましてもみた。
「どうしよう…」
平日の真昼間の歌舞伎町の裏通りを通るものなんて猫かホームレスくらいしかいない。
私はみずほの口を抑えた。
みずほはどうしようと呟き震えながら私の腕をつかんで言うことを聞かなかった。
彼女が夏からずっと羽織っていた紺色のセーターは腹の部分が不自然にほつれていた。ナイフか何かで引き裂かれたのだろうか。
私の腕をつかんだその袖が微かに濡れているような気がした。
彼女の手を離すと自分の腕に絖りと光るものが残った。
それはどこか、サスペンスとかのドラマでも見たことがあるものだった。
「みずほ、これ…血?血じゃない?あんた怪我してるの??」
「違う、私じゃない…!どうしようどうしよう!私どうしよう!」
「どうしようって、血って…!あんた、やっちゃったの…?」
みずほの焦点の定まらない目が私を一瞬とらえ、下を向いた。
静かだった。
二人の周りを静寂が包んでしまった気がしたが、
それも一瞬で終わり直ぐ様、電車や車のクラクション、雑踏の音が耳に聞こえた。
今にでもパトカーのサイレンが聞こえてくるのではないかと耳をすましてもみた。
「どうしよう…」
平日の真昼間の歌舞伎町の裏通りを通るものなんて猫かホームレスくらいしかいない。
私はみずほの口を抑えた。