うらら!
家の中は出てきた時の状態のままだった。

リビングのカーテンは半分しか開けてこなかった。
ガラスのテーブルには兄貴のエロ本と英単語の教科書、予習ノートが広げてあった。シャーペンが床に落ちているのを見つけて急いで家を飛び出したことを思い出した。

グラスの中のカルピスは氷がとけて分離していた。



「こんなの見るの」


みずほがヘアヌードグラビアが開かれたページを見て訊いた。



「美大受けるから。勉強だよ、べんきょー」


嘘だけど。
女だって女の裸見てムラムラすることもある。



シャワーを貸してる間に部屋を片付けた。カーテンはわざと全開にした。


みずほのローファーを拭いてやると茶色いっぽい血がとれた。雑巾は捨てるしかないな。


玄関の靴箱に置かれた彼女の携帯は電源をおとされたままだった。





もし、

ここで私が電源をつけたりなんかしたら、新しく恐ろしい何かが起こったりするのだろうか。

勝手に彼女の知らないところで物事は動き出すのだろうか。


シャワーの音が止んだ。




既に物事は動き出しているのかもしれない。


私は彼女にバスタオルを渡しに行った。

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