魔神戦記!
妖神
何故………
こんなところに騎士が!?
沈みかけた夕日を背に、漆黒の鎧の騎士が立つ。
黒い兜の隙間から、腰まで伸びた金髪。
裏地が血のように赤く染まった、カラスアゲハを思わせる大きな襟の黒マント。
唯一騎士らしくない部分言えば、額から伸びた蝶の触角のような飾り。
その騎士を見るなり、バケモノは驚きの声を上げた。
「きっ、貴様は!」
その叫びと同時に、黒騎士が右手をバケモノに向ける。
右手の装甲の一部がシュルシュルと音を立てながら、黒い物体が粘土のように伸びて巨大な鎌が作られた。
まるで死神の鎌!
その騎士の身の丈程もの長さがあるメルヘンチックなデザインの銀色の刃の先端が、バケモノの喉元に突き付けられた。
「封印界に帰りなさい!」
喋った!
騎士が日本語を!
声質から知性が感じられる。
物静かな中に力強さを秘めた、冷静な青年の声だ。
「この『黒い三日月』は、君の首を瞬時に切断できます。
いくら変幻自在で不死身の『凶(きょう)』とは言え、『神の武器』の前では無力。
それは知っていますよね?」