魔神戦記!
選択
俺達は、出現した凶王ファビスに対しての対策を練るため一旦引き上げ、さゆりの家の近所にある廃工場の倉庫に集合していた。
地上の外策隊はファビス対策を優先したようで、俺達を放置して引き揚げて行った。
どうやらファビスは、人間にも見ることができるらしい…
今まで存在を隠し続けて来た凶が、今になって姿を晒す意味…
それは彼らの勝利宣言とも取ることができる…
「さゆりが!?」
俺は事の顛末を、意識を取り戻した蜂姫から聞かされた。
思わず俺は蜂姫に詰め寄る。
「何で!
何が起こった!?
何で止められなかった!?
お前だって妖精騎士だろ!
それが何で止められない!?」
「…ゴメン、狼牙」
ハッとして我に返ると、俺は蜂姫の胸倉を掴んでいた。
引き伸ばされたTシャツの首の穴からは、胸元までが丸見えだ。
「す、すまない…
ついカッとなった」
「ううん。
狼牙の言う通りよ。
私は何も出来なかった…
謝って済む問題じゃ無いよね」
蜂姫はシャツを直しながら答えたが、目にはうっすらと涙を浮かべていた。