魔神戦記!
 
「ファルキュリア!!」

シントを無視して、今にも倒れ落ちそうな蜂姫の氷像へと急行するディノウン。


『君の弱点は、その甘さだよ。
妖神ディノウン、恋人の像を抱きながら…』

言いながらシントは、気味悪くウネウネと動く塊を口から吐き出した。

それを右手に持ち、

『樹になりな!』


ヒュン!


ディノウンの背中を目掛けて投げられた。


シントの投げた塊がディノウンの背中に当たるのと、ディノウンが蜂姫を抱き止めたのは同時だった。

塊はモゾモゾとディノウンの背中から身体の中へ入ってゆく…

「う…ぐぅ…
フ、ファルキュリア…」

凍ったままの蜂姫を地上に降ろした時、ディノウンの身体に異変が起こり始める!


メリメリメリ…


具足を突き破って生えた植物が地面に根付き、それがディノウンを固定してしまった。

「う…
こ…れは………?」

指先からも枝が伸び、さらには腕全体が枝となってぐんぐん成長してゆく。

(これまで…ですか。
ルシヴァナ、透徹、ラシス…
後の事は頼みます。

ファルキュリア、君だけ…で…も………)

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