魔神戦記!
『ぐっ!
く、くそ…』
沸騰し始めた身体を元に戻しながら、シントは神帝から距離をとる。
(これが神帝の力か…
コイツの強さは他の神とはケタ違いだ。
このままではマズい)
シントの考えを見透かしたように、
「さて…
ぼちぼち頃合いだな。
この茶番も終わりにするか」
パチン!
神帝が指を鳴らすと、全てが元に戻っていた…
神帝が現れた時のままだ。
『まさか!
さっきのは…
幻覚だったのか!?』
激昂するシントを鼻で笑い、
「ああ、そうさ。
ついでに言うなら、お前が見ている俺も実体では無い。
俺は何かと忙しい身でな。
精神のみで来させてもらった。
…ラシス!
準備はできたか!?」
神帝は空に向けて大声で怒鳴った。
『神帝の仰せの通り、さゆ…ファビスの心臓を時間結界で抑えました。
しばらくは食い止められますが、長くは持ちません。
解放界の時間で…
10分が限界と思われます』
空の彼方から、ラシスの返事が返って来た。
シントが幻覚に翻弄されている間に、ラシスは神帝の命令でファビスの心臓を捕らえていたのだ。
「10分か…上等だ!」