魔神戦記!
!!
………これがファビスの心臓だと言うのか?
忽然と俺の目の前に現れた、バレーボール程の大きさの宙に浮く白い繭(まゆ)。
しかし確かに、さゆりの記憶の香りはここから感じられる。
これがあの、さゆりの…
魔狼形態を解いた俺が、その繭に手を伸ばした時だった。
ビシュ!
「………」
繭から突然に鋭利なトゲが飛び出し、俺の右掌を貫いた。
『おっと…
気安く触んなよ』
繭が喋った。
『俺の世界へ遥々ようこそ。
久しぶりだな。
魔神ウノサス…
いや、今は爆魔神天ヴィロ・ウノサスか。
それとも白銀狼牙とでも呼ぼうか?』
この話し口調や「俺」という一人称から、ファビス自身かどうかは分からないが…
少なくとも、この繭は「男」だというのは分かる。
しかし、この声…
ふざけているのか?
『あれ?
もしかして、俺の声が気に入召さないのか?
悪いね、これが俺の地声だ』
こいつ…
「さゆりの声で……っ!」