魔神戦記!
俺は右手を握り締め、その拳を凶に向けた。
バシャウゥゥォオオ!!
右腕の肘から先が、凄まじい轟音を上げて凶に向けて発射された!
ッビッチャアッ!!
俺がブッ飛ばしたパンチ、そして翼の刺し傷のダメージとの相乗効果で、凶は気味の悪い音と共に四散!!
…俺の、生まれて初めての戦闘は終わった。
凶の奴が「な!」と叫んでから今この時まで、約2秒…
あれこれ考えるヒマも無く、戦闘は終了していた。
俺は、自分が魔神の力を得たという事実を………
違うな。
魔神の力を取り戻したという現実を理解した。
まさに『神化』、だ!!
人間の常識や概念など通用しない、問答無用の圧倒的な威力!!
いつの間にか右腕は元に戻っており、まじまじとその掌を改めて見つめて俺は呟いた。
「魔神……
ウノサス………」
それが俺の本当の名。
俺は視線を夕日に向けた。
まだこの時は、これから先この名を嫌というほど聞かされることになるとは思わなかった。
『神』と『凶』。
そして『人間』……
その全てを巻き込む、『解放界』と『封印界』を巡る戦いが今、始まった………
〜兆の章・完〜