魔神戦記!
青天
ゥヲオオオオオオンッ!!
断末魔の叫びを上げ、凶王ファビスは身体の中央から左右に別れてゆく。
それと同調するように、不気味なマーブル模様の空にも切れ目が生じ、そこから青空が広がり始めた。
ファビスの身体はボロボロと崩壊しながら細かい欠片となり、それは次第に粉塵程の大きさにまで小さくなって消えて行った。
やがて………
凶王ファビスは完全に消滅。
…長い戦いは終わった。
「ウノサスっ!!」
ラシスが走り寄って来て、俺に抱き着いた。
俺は最後の攻撃で力尽き、その場に立っているのも精一杯だったので、ラシスの飛び付きの勢いで簡単に押し倒されてしまった。
「ただいま、ラシス」
「おかえりなさい、ウノサス」
いつだったか…
さゆりとも、この言葉を交わしたコトがあったっけ。
(終わったぜ、さゆり…)
俺は仰向けで倒れたまま、笑顔で涙を流すラシスの顔を胸に埋めながら優しく抱きしめる。
戦いの終結の実感に浸る俺の目に映るのは、雲一つ無い澄んだ青空だけだった…