魔神戦記!
 
ルシヴァナと蜂姫は俺が考え無しに破天虹を振り回すと最初から思っていたのか、かなり離れた位置まで退散していた。


「初回だから『絶対やる』と思ったけどな。
次はコントロールしろよな。
伸縮自在とは言え、街を壊したら本末転倒だからな」


そして蜂姫は

「でもカッコ良かったわよン!
さっすがウノサス!」

抱き着きそうな勢いで駆け寄って来た。
実際、ムニっと胸が当たった。

魔神の身体は鎧のような皮膚だから、感触がよく分からず残念だ。


俺は破天虹を握り締め、じっと見つめた。

(俺の魔剣、破天虹か………)




その頃、少し離れたビルの屋上から俺達の様子を伺う者が居た。


凶では無い。
水晶の身体を持つ男…

顔の左側に傷を持ち、背中に大剣を携えた剣士。

「岩砕を倒したか…
魔神め、凶結界のカラクリに気付いていないのか?

伍凶将が倒されることで凶結界は強固なものになる。
言わば結界を完全なものにするための生贄………
以後の凶将は更に強力になる。
だが、凶ごときに貴様を殺らせん!!」

剣士はクルリと向きを変え、身体を変形させた。

クリスタルの猛獣に。


「初めて私に傷を付け、私に敗北という屈辱を与えた者…
魔神ウノサス!

あの時の決着、この世界で着けさせてもらう!
貴様の首を落とすのはこの私、『水晶の虎・
透徹(トウテツ)』だ!」

水晶の虎は、天空を駆けるように去って行った…


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