魔神戦記!
『勝負あり、だな』
『ぬぅぅ…』
片目を押さえて痛みに耐える透徹に背を向け、俺は夕日に胸にを受けて歩き出した。
『うぅ…ウノサス…
こっ、この屈辱……!
私は決して忘れん!!
忘れはしないぞオォォッ!!』
透徹の絶叫!!
…………
……
…
「…はっ!?」
い、今のは…?
もしかして、俺が神界に居た頃の記憶…?
だとしたら俺は透徹という奴と戦いに勝って、魔神の称号を得た…ということか………
ドウジが俺の異変に気付いた。
「どうした、狼牙?」
「…透徹…」
「なっ!?」
俺が思わず呟いた一言に、ドウジは激しく反応した。
「ウノ……
じゃ無かった、狼牙っ!
今、透徹って言ったよな!?
思い出したのか、奴をっ!!」
「あ、あぁ…
神界での記憶が見えた…」
俺は額の汗を袖で拭いながら答えた。
「そうか、じゃあ…
テメエと奴との因縁も思い出したな?」
「………あぁ。
記憶の中で、奴と魔神の座を賭けて戦っていた…」
「俺はよ、まだその頃はテメエとは知り合って無かったから詳しくは知らねェんだが…
有名な話だぜ。
『銀の魔狼と水晶の虎の勝負』ってな。
勝負に負けた透徹は、神界から姿を消して解放界か封印界に行ったって噂だ。
ところで、さっきの感じ…
魔神の能力『千里神眼』を無意識に発動させたな?」