魔神戦記!
……………その頃。
人の踏み入らない、どこかの深い森の中。
赤い木漏れ陽を受け、それを乱反射させて朱に染まる水晶………の虎!
透徹は、そこに居た。
「魔神め……
解放界では人間に紛れているのか。
気配が微弱で察知できぬ…
ならばおびき出すまでだっ!!」
バサバサバサバサッ!
カァ!ガァ!カァ!
森から一斉に無数の鳥達が、追い立てられるように騒がしく飛び立った!
森全体を揺るがす殺気!!
込められているのは、恨み…誇り…哀しみ…
「魔神よ!
受け取れ、私の殺気を!!!」
……………
「な!!?」
「うっ!!」
「キャッ!…何!?」
長い坂道を、話しながら歩いていた俺達4人。
その内の3人が同時にビクッ!と反応した。
頭に針を刺されたような、痛みに似た感覚………
殺気だ!
感じたことの無いぐらい、超強力な気迫だ!
凶の気では無い。
ということは…奴か!
『水晶の虎』、それ以外無い!
「え…?
みんな、どうしちゃったの?」
さゆりが不安げな目で、俺達を代わる代わる見る。
「なんだ、さゆり。
今のを見なかったのか?
見なくて良かったな…
ドウジが踏んだんだよ。
犬の…フンを」