魔神戦記!
 
………静まり返った月夜。


再び対峙する、水晶の虎と銀の魔狼。

「また…私の負けだな」

「いや、違うぜ。
俺達の勝利だ。
俺と、お前と…
ディノウンと蜂姫。

それに…
砕鋼峰の轟音を、地上に届かないようにバリアで防いでくれたルシヴァナと」


俺は気付いていた。
砕鋼峰の爆音は人間の耳にも聞こえる。

この戦いが目撃や聴取されたら、神の存在が世に知れてしまう。

それを危惧していたが、千里神眼が見せてくれた。

俺達を包み込むように、バリアの結界を張ってくれたルシヴァナの姿を。


「チッ、なんだ。
気付いてたのかよ」

ルシヴァナが、俺達の居るビルの屋上の壁面を駆け上がって来た。


「また皆で一緒に戦えますね」

と、ディノウン。

「ディノウンと一緒なら、どこまでも行くわよン!」

蜂姫だ。

「伍凶将も残り3体。
このメンバーなら…」

と、俺。


「「………」」

だが、透徹とルシヴァナは黙り込んだまま。


やがて透徹が口を開いた。

「魔神、妖神…
私は一緒には行けない」

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