魔神戦記!
「貴方に……
貴方に会えなくて本当に寂しかった………
もう離れない!
離れたくないのっ!」
な、ちょっ、お………
ええっ!?
「い、一体どういうコトなんだ!?
アーサー!!」
「黙っているつもりは無かったのですが…
神界で、君とラシスは恋人同士だったのです」
「い……」
そ、そうなのか…
しかし、いや、そりゃまぁ…
「ラシス、聞いてくれ。
悪いが俺は、君のコトを覚えていないんだ。
だから、その……
いきなり恋人だったと言われても……」
「私………」
俺に抱き着いたまま、ラシスは潤んだ目で俺を見上げた。
口を僅かに開き、切なそうな顔で。
並みの男なら、ラシスのような美少女にこんな顔をされたら………
すぐにでも抱き締め返し、その唇に自分の唇を重ねてしまうことだろう。
現に俺も理性が吹っ飛びそうだった。
しかし俺は……
「すまない…」
かなりの葛藤があったが、俺はラシスの体を引き離した。
「まだ君を受け入れられない。
俺には……」
「白月さゆりさん、ね?」
ラシスの質問は俺の気持ちの核心を突いていた。
人としての心を持ち続けたい。
人としての生活に戻りたい。
この考えは常に、さゆりの存在が前提だったからだ。