魔神戦記!
噂をすれば影。
タイミング良く、さゆりが走り寄って来た。
「ねぇ!
狼牙、アーサー君!
大変、大変よ!!」
さゆりは俺達の前まで来ると、ハァハァと息を切らして前屈みになった。
こんなにさゆりが慌てている姿は珍しいな……
「い、今、家でニュースを見てたらね…
変な奴が一人で自衛隊と戦っているって、臨時の速報が入ったの!」
??
「そんなコトを伝えるためにワザワザ走って来たのか?」
「それが…
かなり近いみたいなのよ!
ココから!」
「…変な奴というのは、どのような者なのですか?」
アーサーの質問に、さゆりは顔を上げて答える。
「赤と緑の……
龍みたいな鎧の奴!」
(狼牙!!
それはリ・シュウです!)
アーサーのテレパシーだ。
(しかし何故だ?
神なのに凶では無く人間を?)
(…それは分かりません
彼が何を考えているのかは、俺にも読めないのです)
(理由が分からなくても、人間との戦いをすぐに止めさせなくては!)
「貴方には無理よ」
テレパシーを遮り、ラシスが俺に声で告げた。