魔神戦記!
 
この瞬間を待っていたのさ!
奴の行動パターンだ…

恐らく奴は、駿足を活かして俺の背後に回り込み、棍を振り下ろして来る!


(同じ手に何度も掛かるか!)

俺は破天虹を口にくわえ、振り向きながら袈裟斬りにしようとした!


ブオゥン!


空振り!?

(………居ない?)


『ここだ、ウノサス。
そう何度も同じ手を使うか』

俺の頭上で雷雲が裂け、両脇がドシャ降りなのに俺の居るところだけ晴れているという、奇妙な現象が起こっている。

そして雷雲の裂け目から、こちらへ一直線に飛んでくる一筋の…
いや、筋では無い!

「な…ん…だと!?」


あれは……蛇?
いや、龍だ!!

巨大な赤い龍が、こちらへ真っ直ぐ飛来した!

『貴様が魔狼の姿を使うなら、俺も紅龍の姿を使うしかあるまい。
今度はこちらから行くぞ!』


長い体をくねらせて、巨大さに似合わない速さで…

コブラが鎌首をもたげて獲物に襲い掛かるような動作で、俺に噛み付こうとしてきた!

『ちっ…!』


それを巧みに避けて、俺は死角に飛び込んだつもりだったが…


ブゥオアアウゥン!!


俺の動く先を読んでいたのか、そこを狙っての強烈な尾の一撃が待っていた!!


ズバウオシッ!!


『ぐぉあ!』


ギィャウゥン!


犬が蹴られた時に上げる悲鳴に似た叫び声を残し、俺は真っ逆さまに地表に向けて落下した…


……………

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