魔神戦記!
……………
その頃。
俺とアーサーが去った後に残された、さゆりと那由。
「ねぇ、那由…ちゃん?」
那由は寂しげな顔で後ろを向いて俯いていたが、
さゆりの問い掛けに少しだけ微笑みながら振り返った。
「さゆりさん。
さっきはごめんなさい。
貴女に冷たい態度をとってしまって…」
さゆりも安心させるように、笑顔を那由に向ける。
「いいのよ。
気にしてないわ。
……那由ちゃん、狼牙の事が好きなのね」
那由は頬を赤くした。
「でも、さゆりさんも……
私は……っ!?」
急に真顔になり、那由は辺りを見回す。
「どうしたの?」
「凶……!!」
「え?」
スゥワアアァァ…
さゆり達の目の前で、突然巻き起こった風が実体化する!
それはやがて、全身が緑色で透き通った体の妖艶な姿の美女へと変化した!
「ウフハフホハヘヒフヒャホ!
アタイの気配を感じ取るとはね」
イカレた甲高い笑い声。
しかし威圧してくる気迫…
並みの凶では無い。
「貴女は……伍凶将!!」
さゆりを庇うように那由が身構えた。