魔神戦記!
ポツポツと降り出した雨は、豪雨に変わった。
魔狼が……
俺が呼んだ雨だ。
ビカァァアン!
雷光が、対峙する2人のシルエットを地面に焼き付けるように激しく光る!
ワンピースは雨に濡れ、身体のラインをクッキリと浮かび上がらせているが、それを気にもせずに前方の凶に集中する那由。
「アタイの名は参の凶『羅扇(らせん)』。
風を司る伍凶将さ!」
ピシッ…
滝のような雨が伝う那由の右頬に一筋の赤い線が入り、流れ出た血が雨に溶けて滲む。
「カマイタチ……?」
痛みにも表情を変えず、羅扇から視線を逸らさない那由。
(今、私がここで神の姿になれば、さゆりさんに神の存在を知らせてしまう…
どうすれば…)
ピッ!
ピシッ!
カマイタチの攻撃は徐々に激しさを増し、那由の身体は段々と傷付けられてゆく……
既に白いワンピースはボロボロにされ、服の裂け目から白い肌と赤い傷のコントラストがあらわになっていた。
それでも那由は、寸分も動くことなく耐え続けた。