至適彼氏
白紙のノート。動かない手。
全っ然分からないよぅ~。

懲りもせず、あたしはまた葛城君に目を向けてしまう。
横を見ると、葛城君は暇そうに器用にペンをクルクルと回している。


「もう終わったの?」

「まだやってんの?」

呆れたように言われた。
ノートを覗き込む葛城君。今更だけど、白紙のノートを見られるのはちょっと恥ずかしい。

「どこ解んないの?」

耳元で葛城君が喋る。

「…全部。」


そう言うと、ゆっくり公式の説明をし直してくれた。
耳元にかかる葛城君の吐息。
ゾクゾクじちゃって、また昨日のコト思い出しちゃって、耳が熱くなる。


「葛城君…、ちょっと近くない?」

「授業中だから、大きな声で喋れないからしかたないだろ。」


今度はワザと息を吹きかけてきた。

「葛城君?」

「何?」

更に近づいてきて、耳たぶまで優しく噛んできた。



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