至適彼氏
「ダメだよ、葛城君。見てるよ…。」

「みんな必死に解いてるから、誰も見てないよ。」


集中して問題解きたいのに、葛城君の意地悪は止まらない。
なんとか10問解き終わった頃に、先生が生徒を当て始めた。
きっと今のあたしの顔、ゆでダコみたいに真っ赤なんだろうな…。

やっぱりというか、当然あたしも当てられた。
教科書忘れたから、しょうがないといえばしょうがない。
黒板に出て、問題を解く。
ドキドキが治まっていなく、チョークを持つ手が少し震えた。


早く解かなきゃ、変に思われる。だけど、手がいうことをきかない。
ドキドキしながら、後ろを振り返る。
葛城君の視線。熱く背中に突き刺さる。
お願いだから、これ以上あたしをドキドキさせないで。



答えあわせが始まり、葛城君のおかげもあって正解した。

「楠木、お前やれば出来る子なんだな。先生見直したぞ。」

「はは…。」


< 11 / 54 >

この作品をシェア

pagetop