至適彼氏
体育館には、あたしと葛城君。
2人っきり…。


やばいよね、絶対やばいよね!!

2人無言で後片付けをしてるけど、あたしはそれどころじゃなくって…。
葛城君の行動に、意識しっぱなしなんですけど!!


なるべく背中を向けないようにとか、葛城君の視界に入らないようにとか、後ろに回るとか…。



「楠木さん、ボール体育倉庫にしまっといて。俺、あっちに落ちてるボール拾ってくるから。」

「う、うん…。」


葛城君は小走りで、体育館の隅っこに落ちているボールを拾いに行った。


あのトキのあたし、油断しちゃったんだよね。
もう、これだからバカって嫌。
自分のバカさ加減に腹が立つ。


言われるがまま、あたしはボールが入った籠をガラガラと押しながら、体育倉庫に入った。


背後も確認せずに…。


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