至適彼氏
「そのノートさ、俺が渡す前に葛城が楠木の机に入れようとしてたの、たまたま見たんだよ。“直接渡せば”って言ったら、アイツ“じゃあ大森が渡して。そのほうがアイツ喜ぶだろうし”って。」


あたしが手に持っているノートを指差しながら、大森君が言う。

とっさにノートを広げる。


なんであたし、気づかなかったんだろ…。
この字、葛城君じゃん。
あたし本当にバカだよ。



「なんでケンカしたか知らねーけど、早く仲直りしろよ。あのケガだってさ…。」

「葛城君のケガの理由知ってるの?教えて!!」

「ハッキリしたコトは分かんねーけど、楠木のコトみたいだぞ。」


あたし…?



「山本達もケガしてたろ?アイツらが楠木の悪口とはちょっと違うけど、バカにしてたっつーか。山本達も悪気は無かったんだけどな。」


山本君って、あの日のコト?
体育倉庫から出てきたトキ、あたし山本君にぶつかった。

あのすぐ後に、そんなコトがあったの…?


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