至適彼氏
「じゃあ行くか。」

「うんっ。」



そんなにはしゃいで、転んでも知らないぞ。
俺の左隣を歩く仁菜。
俺の手と、仁菜の手が優しくぶつかる。
「ゴメン。」なんて言うけど、なんで謝んだよ。

こっちは、嬉しいのに。


俺は仁菜の手をつかむ。
ぎゅっと手を繋いだ。



疑うことを知らない仁菜。

手を繋いだら、最初はビックリしたのか目をまん丸にしたけど、すぐに笑う。
嬉しそうな顔なんかして。

俺が今から何しようとすんのか、分かってんのか?


バカだから、分かってないんだろうな。



歩いていくと、景色が変っていく。
人通りも少ない。

仁菜も気づいたのか?
さっきから無口になって、首が疲れんじゃないのかってくらいキョロキョロしてる。


下品な色使いの看板。
ここがラブホテル街だってことに。



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