蒼い月~さよならのサイン~
季節外れの花見
2017年 12月
夕日が既に沈み
住宅街から外れた
人気のない静かで小さな公園がある
そこには
2つのブランコと
古びた1つのベンチ
ベンチには二人の男女が座っていた
近くに人影は全くない
そして
樹齢1000年はあろう程の
桜の木が公園の中心にあった
「綺麗だな…」
「うん」
ベンチに座っている男女が
目の前の桜を眺めていた
目の前の桜は
12月というのに
なぜか満開だった
月明かりで桜の花びらは
薄い紫色を放っていた
女性は桜を眺め
うっすらと瞳に涙を貯めて
一生懸命涙を零すまいと瞬きをした
そして
男性の手を
ぎゅっと握った
「そろそろ行くか」
「…はい」
二人は立ち上がり
お互いの瞳を
真っすぐに見つめた
男性は女性を優しく抱き寄せ
そっとキスをした
そしてその瞬間に
男女は
忽然と消え去った
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