蒼い月~さよならのサイン~



「梨緒ちゃん、よく我慢したね。パパとママにもうじき会えるからね。」


「りお、お姉ちゃんだから…泣かない…。」



梨緒は必死に下唇を噛んだ


「梨緒ちゃんは偉いね。もうじき陸君のお姉ちゃんになるもんね。」

彩名は梨緒の頭を優しく撫でる


「り…く?」



「あ、ごめんごめん。何でもないのよ。」


その時、砂利道に梨緒の足がつまづいた


晶はとっさに繋いだ手を引っ張る



梨緒は無事なものの、梨緒の右手にずっと握られていたものがヒラヒラと舞い落ちた


それは小さな真っ赤に染まった紅葉の葉っぱの欠片だった


迷子になってから無意識に強く握っていた為、いつの間にか葉が粉々になっていた



< 219 / 446 >

この作品をシェア

pagetop