蒼い月~さよならのサイン~




そして凛は一歩ずつ水の中へと入って行く



10月と言うのに水の冷たさがまったく気にならなかった


きっと雅臣が祝詞に神力を込めて苦しまない様にしてくれているのだろう



一歩


また一歩と



湖の中に入って行った




全身が浸かると凛は水の流れに身を任せた



身体が仰向けになり正面に満月が見えた


蒼い蒼い




満月だった



ゆっくりと身体が水の中へと沈んでゆく



水の流れで月が揺らいで見える



まるで蒼い月が泣いているかのようだった









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