蒼い月~さよならのサイン~
バシュッ
晶と浩一の二人は山間にある小さな公園に来ていた
最後に見ておきたい物があったからだ
その公園には二つのブランコと古びた木で出来ているベンチがある
晶と浩一はその公園の真ん中にある大きな桜に触れた
桜の木は冬だったので枝が風に晒され寒そうに見えた
樹齢千年は経とう程の大きな幹のしっかりとした桜の木だった
「礼奈様…お久しぶりです。」
晶はおでこを木の幹に当てて目を閉じた
「お願いがあります…。最後に…最後に桜の花が見たいのです…。」
礼奈の植えた桜の木は千年という長い歳月をも生きて、耐え延びていた