蒼い月~さよならのサイン~
舞台にはすでに神宰と東神巫の雅臣がいた
舞台は社の中で一番高い位置にあり、眼下に都が一望出来る
舞台の下には大勢の民衆が押し寄せていた
舞台の袖にいた翠は雅臣の方を見た
雅臣は翠の不安を感じたのかいつもの微笑みを浮かべて頷いた
翠もゆっくり頷く
『次期、西神巫は翠様と決定した!』
神宰が民にそう伝えた
そして翠は真っ直ぐ前を向き舞台に出た
朱色に塗られた柱と同じ真っ赤な十二単を羽織っていた
太陽がその朱色をさらに赤く見せた
その美しい15才の少女に
民は息を飲んだ
『わたくしは精一杯、西神巫として責務を務めさせて頂きます。ただ…一人では出来ません。この西を、大切な人を、皆で守りましょう。平穏に暮らす事が出来るように。その為に皆の力を貸して下さい。』
民衆はすぐに歓声を上げた
そして
翠は右手を少し上げてそれに答えた