~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅲ 竜と闇黒の王
 *

 ゴプッ、と麟紅は血を吐いた。
 即死ではないが、下手をすれば致命傷だ。
 顔面から一気に血の気が引いていくのがわかった。
 ネロは笑いながら右手を、突き刺さった氷の爪を引き抜いた。
 傷口からドクドクと血が流れた。

「は、はは、ハハハハ」

 ネロの乾いた声が麟紅の耳に届く。
 ネロはそうして笑いながら、数歩後ろに下がった。
 傷口を手で押さえるが、そんなことでどうにかできる傷じゃないことは明らかだった。

「やったよ……、ハハハ、簡単じゃないか」

 ネロは笑って、血に染まった右手を見た。
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