~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅲ 竜と闇黒の王
「なにやらお困りのようね」

 麟紅が頭を抱えて唸っていると、カウンターの奥からバーの店主が声を挟んできた。
 店主は四十代の女マスター。髪は紫に染めてあり、いかにもそれらしいおばさんなんだが妙に線が細くスタイルがいい。若いころには相当モテただろうなあと麟紅は思う。
 しかし魔法使いでもない一般人に自分の悩みを話してもどうしようもない、と璃寛の方を見てみると、

「問題ない。彼女も魔法使いだ」

 おやおやこんなところにまたも魔法使いが、ってホントにこの学園魔法使いが多すぎだろ。

「あたしのこと知らないなんて、あんたモグリだね。炎術のウィッキー、っていえば昔は有名だったよ」

 あ、ウィッキーってのは当時の源氏名ね、と女店主は付け足した。そんなことはどうでもいいが現に麟紅は魔法使い暦三ヶ月の本物のモグリである。知らないのかといわれても困るだけだし。
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