【短編】雪うさぎ
「おかえりって言ってくれないの?」

聞きなれない少年の声が私を現実に引き戻す。

気が付けば、足元を見つめていた自分の視界に男物の靴が映っている。



ゆっくりと視線を上へあげた




長い足

大きな手

厚い胸元

少年らしい喉仏

私が真っ直ぐに見つめられるのはここまでだった。


視線を上にゆっくりと移動する。


そこにあったのは…


漆黒の髪

意志の強い光を放つ切れ長の漆黒の瞳

すっきりと通った鼻筋に

シャープになった顎のラインは

随分と大人になった印象だけれど…。



「―っ!ゆうちゃん?」


呆然とする私に

ゆうちゃんは

あの時と同じ

天使のような顔で笑って言った。


「ただいま、帰ってきたよ。」




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