【短編】雪うさぎ
「バカ、醒めないよ。これからはずっと傍にいる。」


ゆうちゃんはクスクスと笑い

もう一度優しく唇を重ねた


「もうさ、『ゆうちゃん』はやめない?」


唇が離れるか離れないかの微妙な距離でゆうちゃんが囁く。


「ダメかな。じゃあ勇気?」

「うん、もう一回呼んで」

「勇気」

「もう一度…」

「勇気…」

「もっと…」

「ゆう…」


最後までは言えなかった。

勇気が唇を重ねたから。


薄く開いた唇から、スルリと温かいものが入り込んできて、思わずビクリと体が跳ねる。


勇気は私の口内を貪るように舌を絡め、何度も角度を変えては吸い上げた。



< 23 / 31 >

この作品をシェア

pagetop