【短編】雪うさぎ
その日

結局学校を強制的に休まされた私。


勇気を自宅に招きいれると、懐かしいと涙する母の話に、リビングでお茶とランチをしながら昼過ぎまで付き合わされた。


その後、私の部屋へ移動した私たちは、10年間を取り戻すかのように話をした。



話すことはたくさんあった。



やがて太陽が西に傾きかけ

少し窓からの日差しが長くなった頃

勇気は私がずっと疑問に思っていたことを口にした。


「雅、なんで俺がおまえを『うさぎ』って呼んでたかわかるか?」


沈みゆく太陽が空を茜色染めるのを

西側の窓から見つめていた勇気は


突然


何の前置きもなくそう聞いてきた。




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