【短編】雪うさぎ
勇気の言葉は甘い媚薬となって

私の心を解き放っていく



私はずっと寂しかった。

両親にも

妹にも

ご近所さんにも

友達にも

先生にも


…みんなにイイコでいることも望まれて


いつしか『我侭をいわない優等生の雅』が出来上がっていた



でもそれは本当の私じゃない。

本当はいつだって寂しかった。

本当はいつだって泣きたかった。

本当は誰かに気付いて欲しかった。



いつだってゆうちゃんだけが本当の私に気付いてくれた。

いつだってゆうちゃんが、本当の私を引き出してくれた。

ゆうちゃんだけが私の心の叫びを聞き取ってくれていた。



「ずっとずっと、傍にいてね。」



勇気はずっとずっと前から私の一部だったのかもしれない



「ああ、約束だ。もう二度と離れない。」



雅を護るよ…


声にならない勇気の心が

じんわりと私の中に染み込んで来る

彼のシャツを握り締め


ゆっくりと瞳を閉じた。






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