澪樹…こんな世界で
僕たちは
彼らが それでも暖かく迎えてくれたお礼に

何かをして彼らを喜ばそうとした


異臭の放つ公会堂を一夜限り自由にしていい許可をもらった
僕たちは

村人たちに
短いコンサートをプレゼントする案を思いついた



衰弱していたキムもそれを機に元気を出すようになった

ぼくたちは
街に着いて二日目の夜

初めてリハーサルをした

そして キム の歌声を初めて聴いた


とても伸びやかで
ハリのある声


とても美しい声


そのとき僕はこんなことを考えていた

昔 僕の両親に対して抱いていた不信感は
やはり持ち続けてはいけないなと
彼らのことはやはりとてもかけがえのない存在だと


僕が社会に抱いていた
苛立ちと焦りの気持ち

そんなものを含め

全てのものに対して
詫びたい

そんな気持ちになった
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