澪樹…こんな世界で
僕たちのコンサート

一番下手な僕のストリートダンスとパフォーマンス
そして あいつの ハーモニカ

そして余りにも誰の心の中にも浸透していきそうな
キムの歌声

この地味で余りにも非力なコンサートに
村人たちは拍手喝采をしてくれた

その拍手喝采が
余りにも力強く
まるで病んでいる人たちのものとは思えない
少なくともコンサート開始の時点と様子が違うことを
僕は何だか不審に思った


その予感は的中した

村長たち代表者たちは
明日も同じようなコンサートをしてくれないかと
僕に懇願してきた

彼らの表情から
病巣は消えていくような
そんな印象を憶えた

僕は三日続けてコンサートを披露した次の朝
村長からある事実を聞かされた

「病状が奇跡的に回復しているものが 突然大多数に増えているとのこと
それも コンサートに聴きに来た者たちの中からそういった患者が
現れているということ」


コンサートがどうしてこのような効果をあげているのか

それとも偶然なのか
よくわからなかった

ただ ある夜の出来事を機に
僕はある事実を察知したような感じになった
< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop