澪樹…こんな世界で
不思議だった…

あいつの大切さに気付いたのは
あいつが記憶というものをなくしてからのことだった

世界が繁栄といったものに酔いしれていた
無謀で横暴な人間たちによって
ありとあらゆるものが困惑していた
文明世界というものをあいつは知らない

少し小柄で
化粧がまるで似合わなく
それでいてちょっと美人なエンジェル

あいつは
それでも僕のそばに居てくれた。

僕と最初から恋愛を始めるように

もっとも
ぼくのアプローチが下手だったら
あいつは僕を特別な存在として扱ってはくれなかっただろう。





次の砂丘の先にやはりオアシスはなかった


あいつが笑う

ケラケラと笑う


ホントに情けなくて
こっちまで笑いがこみ上げてくる


突然地面の砂が突き上げるように
上空の空へと向かって竜巻が沸き起こる


「きゃあああ」

あいつはパニックになる


ウオータードラゴンだ

水筒が底をつきはじめている僕たちには
命の危険と共に訪れたチャンスでもあった。
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