澪樹…こんな世界で
シンガーたちの集団に遭遇したのは次の日だ

あの人たちはキャラバンとして
まだ人々が平和に暮らしている

この大陸の内陸部の村を巡業している

その日の夜
出会った僕たちの歓迎の宴を開いてくれた

20人くらいの全員はいい人たちばかりだった

女性たちは美声のハーモニーを奏でて
男たちはしなやかな踊りを披露してくれた

年老いた者たちもまるで若者のような
若々しい姿勢と眼光を持ち続けている

族長の ケイン は長身の頼りになりそうな好青年

うまくキャラバンをまとめている。


不思議と僕はその男と気が合った

彼らの使う言語は英語がなまったものだが
ケインは少しの日本語が話せた

僕はというと
この三年ばかりの放浪生活で
様々な言語についてかなり慣れていたので

彼らとのコミュニケーションに支障はなかった。


あいつは

彼らの巡業の一員として
今後自分のハーモニカが生かせないかと
心配そうに
僕に打ち明けた


ケインは快く承知してくれた

あいつのハーモニカはいい響きだ


ケインにも
その良さが伝わったのも当然のことなのかもしれない
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