イケメン先輩の恋愛事情

空虚




色とりどりだった景色も、一気に緑色になった。


梅雨前、初夏の陽気が続く。


「綾乃ぉ~?今日の夜はぁ~?」

「ごめん。バイト入ってるわぁ」



愛美からお誘いがあるときは大体、サークルのメンバーが絡んでいることが多い。


あれ以来、サークルの先輩たちに会いたくなくてアルバイトを始めた。

バイトしている時は、サークルのこととか、・・・咲夜さんのこと考えなくて済むと思って。


「たまには、バイト休んでよねっ」


膨れっ面の愛美に苦笑いでそうだねと答える。


「大輔さんだって、綾乃連れて来いっていつも言ってるんだからっ」


当然、サークルにも顔を出していない。


たまに大輔さんから電話がかかってくるくらい。



自分の気持ちと向き合わないまま。


咲夜さんと出会ったことはなかったことように日々を過ごした。


そうすることでしか自分をコントロールする方法が見つからなかった。










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