あなたのモノ
起こさないようにと、
静かにベットから出る。
どんな動作も
“最後なんだな…”という
意識がつきまとう。
苦しい。
胸が痛い。
涙を堪えながら
朝食を作った。
おいしいって思ってほしいのに
悲しい気持ちが溢れる。
作り終わって、
湊を起こしに行く。
綺麗過ぎる寝顔。
初めは羨ましいとしか
思っていなかった。
けど今は…愛しい。
触れたい。
いつの間にこんな大きな存在に
なっていたんだろう。
「湊…好き、大好きだよ…」
小さな声で呟く。
口にしてはいけない告白。
でも最後くらい、いいよね?
寝顔を目に焼きつけて、
湊に声をかける。
「湊、起きて」
「…ん……あと5分…だけ…」
「だーめ!早くー」
「…眠い…」
やっと起きてくれた…
いつまでも
子供みたいなんだから。