あなたのモノ




手紙をテーブルの上に置いて
その横にも紙を一枚。


“カレー作りました。
よかったら食べてね。”


私が作った最後の料理。

湊はどんな顔をして
食べてくれるんだろう。

その顔は笑顔であってほしい。



荷物を持って部屋を後にする。


もうこの部屋に来ることは
二度とないんだよね…。



鍵を閉めて、エレベーターに乗る。

ポストに鍵を入れて、外に出た。



湊、似合ってるかな?

湊が選んでプレゼントしてくれた
服を着たんだよ。


ずっと借りてたジャージは
洗濯してたたんでしまった。


見せたかったな…

私がこの服を着たところを
湊はまだ一度も見たことがない。




< 110 / 113 >

この作品をシェア

pagetop