あなたのモノ
「そんなことがあったのか…」
湊は私の話を
“うん。”“そっか。”って
静かに聞いてくれた。
このことなんて誰にも言えないと
思っていたけど、
言うことができた。
「湊…ありが…」
“静かに聞いてくれて
ありがとう”という意味を込めて
言おうとした。
けれど、言い終えないうちに
ぎゅっと抱き寄せられた。
「…え?…湊??」
状況が上手く飲み込めない。
「お前さ…
泣きたい時は泣けよ?」
「なんでそんなこと…」
「だって、すぐに
忘れられるわけねぇだろ?」
なんでそうやって優しい言葉を
かけてくれるんだろう。