あなたのモノ
「…懐かしい味がする」
「懐かしい味?」
「うん…おふくろの味に
似てる気がする」
…湊のお母さんの味。
この前、聞いた話。
湊のお母さんは、
湊が小学2年生の頃に
病気で亡くなった。
元々、体が弱かったらしい。
そして、とても優しい人
だったって。
そんなお母さんの味に
似ているって、
素直に嬉しいと思う。
「ありがとう。嬉しい」
「俺こそありがと。
もう食えないと思ってたから」
優しい笑顔。
湊のお母さんもこんな風に
笑ったのかな。